今回は髪の毛のモデリングをやっていきます

頭を悩ませるほど難しいパーツですが、キャラクターを完成させるなら避けるわけにはいきません

ただ、初めて作り始めたときは、なんかもう発狂ものでした

  • なんかイメージと違うなぁ
  • 髪の構造どうなっとんねん!
  • 房の隙間埋め面倒やねんけど!

といった感じ・・・

じゃっく

グギギッ気が狂いそう(もう狂ってるんだわ)

まあ ちょっと面倒くさがりな性格なのがいけない

「少しでも楽に髪の毛を作りたい」

そこで球体から髪の毛を作る方法を試してみたところ、どうやらこれが自分に合っていたようです

作ることができる髪型は、恐らく限定されますと思います

例えばショートヘアーのような、つむじが見える系のタイプには使えるはず

ただ、ツンツンヘアーのようなタイプだと難しいかもしれません

それでも、全く作れなかった時よりだいぶ楽になりました

ハイポリ化した時も房同士にすき間ができなかったので、調整する手間もありません

これは使えると思ったので、作り方を書き残してみました

仕様

まずは作り始める前に、簡単に仕様を決めます

球から髪を作っていく

アニメ調の髪の毛の作り方を調べたところ、いろんな方法があることが分かりました

  • 板ポリから作成
  • カーブから作成
  • スカルプトで作成

このブログに書き残す前にいくつか試作してみましたのですが、前提として LightWave には Zbrush のようなスカルプト機能がありません

Blender での方法として、夏森轄(なつもり かつ)さんという方の動画を確認しました
※とても長い動画なので、もし視聴する際は WiFi での視聴をオススメします

じゃっく

内容は分かりやすく、髪の毛作りの参考になりました

こちらはカーブから髪の毛を作っていくタイプでしたが、この機能も LightWave には無いので、基本ポリゴンからゴリ押すことになります

さらに板ポリを重ねて髪の毛を作る方法も試してみました

ただ、こちらも自分には合わず

難しかったので、ここでは球から作ることにしています

三つの部位に分けて作る

既に同じようにやられている方も多くいますが

  • 前髪
  • 横髪
  • 後髪

の三つの部位に分けて、なるべく簡単に作れるようにしていきます

よくイラスト系の参考物では

「部位ごとに大きく分けると描きやすい」

と解説されているのを目にしますが、これは

「複雑な問題でも一個一個分解した方が割と簡単に解ける」

と似ているような気がします

実際に試作中に確かにモデリングでも有効であることが分かったので、部位ごとに分けて進めていきます

比較的簡単な髪型にする

まだ髪の毛のモデリングに慣れていないので

  • ロール
  • ウェーブ
  • ツインテール
  • 左右非対称型

など、複雑なものは今回は避けるようにします

自分ができそうなものは、左右対称型かつシンプルな髪型

頭部さえあればいくらでも髪作りの練習ができるので、今回は比較的簡単な髪型を作っていきます

じゃっく

できることから少しづつ

準備

下絵を用意

モデリング前に下絵(設計図)を用意

あまり絵は得意な方ではないですが、我ながらまあまあ描けたかと思います

下絵を用意するのは少々面倒ですが、あった方が良いかなと思います

というのも、過去一発目に何を思ったのか

じゃっく

下絵無しでやったれぇいっ!

と勢いで作ってみましたが、これが盛大に大失敗

もう修正に修正が重なって終わらなくなりました

じゃっく

あほやなぁ・・・

なので、慣れない内は多少下手でも下絵は用意しておいた方が良いです

ここではシンプルにショートカットヘアーにしました

手順

モデリングの手順ですが、こんな感じになりました

最初に球を半分にして、半球を頭にペッと置きます

三つの部位に分けて房をさらに分けたり、形を調整したりします

形ができたら厚みを付け

仮の細分化で状態を確認しながら、前髪から後ろ髪にかけて進めます

最後に頭頂部の穴埋めと全体の調整をして完成、といった流れです

球を用意する

STEP1
球体の不要な部分を削除する

始めに頭を背景レイヤーに置いて、球を前景レイヤーに用意します

球の設定はこんな設定にしました

球の設定
  • サイド:32
  • 分割数:10

下地は~・・・作らないで進めます

というのも、たぶん地肌は見えないはずだからです
おまけ項目に作り方を残しました

じゃっく

もし必要になったら作ります

必要なのはこの球体の上の部分だけなので、下半分は削除

頭頂部の面も要らないので、削除しちゃいます

STEP2
半球の角度を顔の面に合わせる

横から見て半球をちょっと回転

顔の面と合うようにします

じゃっく

だいたいで OK

STEP3
前髪部分のエッジ幅を調整する

前髪にあたる部分のエッジ幅ですが、ぎゅっと狭くします

だいたい下絵と同じくらいとしました

調整には詳細タブにある「エッジ編集」を使用

じゃっく

v2024 以降で「エッジスライド」が追加されました

STEP4
三つに分割する

ここで部位ごとに分けます

切り取りたい部位を Ctrl+X で切り取って、別レイヤーに Ctrl+V で貼り付ければ OK

じゃっく

このちょっと雑にできる感じ、気に入っています

名前も分かりやすいように変更

前髪を作る

STEP1
房ごとに分割する

前髪をさらに細かく分割して、先端は少しだけ空けます

分けたいポイントを選択して「結合解除」した後、エッジを縮小すれば OK

STEP2
厚みを付ける

毛の厚みは内側方向に付けたいので、マイナスで厚み付けです

STEP3
毛先を作る

面を引き出して毛先を薄く

ショートカットキー E で引き出せます

後で細分化するのですが、先端にポリゴンが残っていると丸くなっちゃうんで削除

じゃっく

以降の先端のポリゴンも削除します

STEP4
仮の細分化で見た目を確認する

ある程度進んだら「細分化」を実行して見た目を確認します

確認が終わったらアンドゥ(戻る)

ちなみに頭頂部の調整は後回しです

サブパッチを実行して確認するのもありですが、毛束の間にすき間ができてしまいます

じゃっく

設定の問題ですかね?

結果として調整作業が発生するので、サブパッチは使わないことが多いです

「細分化」だと毛束の間にすき間が詰まった状態で分割されるので、普段は「細分化」をよく使っています

横髪を作る

STEP1
法線方向に浮かせる

横髪を「ノーマル移動」を使って、前髪よりちょっと上になるように浮かせます

前髪と同じ高さでもやったのですが、横髪にしてはちょっと薄すぎましたので浮かせています

STEP2
房ごとに分割して厚みを作る

房を二つのパーツに分割

分割したら前髪と同じように、マイナス方向に厚みを付けていきます

じゃっく

結構がっつり目

STEP3
毛先を作る

面を引き延ばして毛先を作成

さすがに割が少なくてパキパキ過ぎるので、間に2本ほどカットを追加

曲線状に調整します

STEP4
仮の細分化で見た目を確認する

末端のポリゴンを削除

前髪と同じように一旦仮の「細分化」を実行して形を確認します

大丈夫そうなので、次の後髪へ GO

後髪を作る

STEP1
法線方向に浮かせる

後髪も「ノーマル移動」で浮かせます

高さは横髪と同じくらい

STEP2
毛を引き延ばす

後髪も他の髪の毛と同じように引き延ばします

横髪とのポイントに揃えるよう、曲線状にちょっとずつ調整

STEP3
形を整える

「対称」を有効にして移動ツールを使って調整します

真後ろのポイントは動いて欲しくないので、「フォールオフ」を「リニア」に変更

プリセットは「スムース」を使いました

調整は上面ビューを見ながら、正面ビューで横方向に移動して調整しています

じゃっく

ちょっと分かりにくいですが・・・

ちょっとずつ調整

画像のように頭を包むような感じにします

STEP4
房ごとに分割

ここで後髪も房ごとに分割

2 列でひと房としました

STEP5
毛先にすき間を作る

毛先のエッジを選択して、「アクションの中心」を「ローカル」に変更

この状態で拡大縮小ツールで、ほんのちょっとだけ動かして、すき間を作ります

じゃっく

思った以上にローカルが便利

STEP6
厚みを付ける

ここで厚みを付け

重なってしまうところが出てきますが、気にしないで次へ GO

STEP7
毛先を作る

毛先は面をさらに引き延ばして、「ローカル」を選択した状態で縮小

正面からは対称に切り替えて、移動ツールでぎゅっと内側に寄せます

STEP8
仮の細分化で見た目を確認する

後髪も先端のポリゴンを消して、「細分化」を仮実行して確認

大丈夫そうなので、頭頂部と全体の調整に取り掛かります

頭頂部を埋める

STEP1
前髪の面を引き出す

前髪のてっぺんの面をぐいっと引き出して、末端のポリゴンを削除

じゃっく

横から見て高さも調整します

STEP2
横髪の面を引き出す

横髪のてっぺんの面も同じように引き出し

形的には M の字っぽく

こちらも末端のポリゴンを削除します

STEP3
後髪の面を引き出す

後髪も同じく

房の数が多くて少し難しいですが、なるべくキレイになるように調整しながらやっていきます

じゃっく

片方作ってから鏡面コピーもあり

髪の追加と調整をする

STEP1
横髪の毛を増やす

横髪の毛の量が少ないので、毛を増やします

毛の一部を複製してぶっさし

こういった方法もあるようなので、あまり神経質になる必要はなさそうです

じゃっく

作り初めの頃は、ぶっさしにちょっと抵抗がありました

STEP2
後髪の毛を増やす

後髪も下から見るとスカスカです

これでは頭皮が見えちゃうので、複製して埋めていきます

複製した毛は、調整しやすいように別レイヤーにコピペ

小さい髪は、頭の曲面に沿うように配置します

STEP3
髪のボリュームと形の調整をする

ボリュームが足りないので、少し調整

この調整には 3rdPowers さんの LW Brush を使いました

じゃっく

良すぎて、もう必須プラグインです

無い場合は「ノーマル移動」で調整するのが良さそう

前髪のボリュームがちょっと足りな気がしたので、Z 軸方向へボリュームアップ

じゃっく

半球を乗せたとき、ちょっと顔と近かったかも

高さ的には横髪と同じくらいです

横髪と後髪とのすき間も気になったので、簡単にぎゅっと埋めました

完成

後は全体を見渡して確認

髪の毛本体のポリゴン数は以下になりました

  • ローポリ:1184
  • ハイポリ:4736

顔とも合わせてみました

悪くないかなと思います

完成です

じゃっく

で~きたど~

まとめ

それでは今回のまとめです

まとめ
  • 下絵はできれば用意する
  • 下地は必要に応じて作る
  • 小さな毛はぶっさしで対応
  • 後髪は複製して段差状にする
  • 毛の形を作ってから厚みを出す
  • 仮の細分化で隙間と形を確認する
  • 髪は三つの部位に分けると作りやすい
  • いきなり難しい髪形を作ろうとしない

今回は髪の毛を球からなるべく簡単に作る方法を残しました

まだ慣れていないのでショートカットヘアーにしましたが、今後もいろんな髪型作りへ挑戦したいと思います

また、今回は髪の下地を作らずにそのまま進めちゃいましたが、正直作るか作らないか実はかなり迷いました

じゃっく

どっちがええんじゃと

ただ、体感では作っていない方が多いような・・・?

一応おまけ項目に自分が考えている作り方を残しています

ひとまず髪の毛を簡単に作る、という目標は達成です

お疲れ様でした~

おまけ

髪の下地を作るか作らないか問題

髪の毛をいくつか練習で作っている時に

じゃっく

下地ってつけた方が良いのだろうか・・・

と悩んでいました

今回は下地を作らないで進んでいきましたが、後々必要になることも考えられます

未来の自分が困らないように、作り方を残しておきました

STEP1
頭の一部を複製する

下地の作り方ですが、最初に頭の面を一部選択して別レイヤーにコピペ

STEP2
毛先を作る

毛先の間であろうポイントを選択して「結合解除」を実行

これでエッジ単体で動かせるので、「アクションセンター」を「ローカル」にして縮小します

調整が終わったら「結合」を実行

これは毛先のポイントの結合じゃなくて、余分に解除したポイントを再結合しています

STEP3
形を整える

もみあげ周りの形が少し気になったので、カット系のツールを使って形を調整

じゃっく

もう少しもみあげの毛、調整した方が良かったかな?

STEP4
厚み付けと毛先を尖らせる

外側に向かって厚みを付けたいので、プラス方向へ厚みを付けます

これで毛の下地は完成です

既存の顔と合わせてみました

少しでも誰かの参考になれば良いかなと思います

分割の違いによる UV 展開について

房の分割の違いで UV 展開した時どうなるの?

気になったので、少し実験してみました

  • A:本記事で分割したタイプ
  • B:実験的に分割したタイプ

これは後髪の一番大きい方を UV 展開をしてみたものです

正直あまり展開の仕方についてよく分かっていません

なので、結構適当

それでも今回の記事で採用したタイプは、キレイに短冊状に展開できます

対して、実験タイプは扇状に広がって塗りずらそうですね

じゃっく

もっとうまくやる方法はあるんだろうか

しばらくは A タイプの方法で、髪を作っていくかもしれません

髪型作りの変化の軌跡

全然需要ないかもしれませんが、過去に作った髪をさらしてみます

サクッとリストに挙げると、こんな感じだったかなと記憶

  • A:初期頃で前髪はペラ、途中で何かに気付いて投げたのか未完状態のボツ
  • B:三つの部位に分けてあるが房は分かれておらず、毛の厚みも薄すぎてボツ
  • C:前髪はペラ、前髪の房は分かれているが他の髪は枝分かれ状態、UV 展開時が怪しくてボツ

とまあ、こんな感じでそれなりに作っては消して、作っては消してを繰り返していました

じゃっく

いっぱい失敗作ができてしもうた・・・

ただ、これはもう単純に経験値が足りていないだけだと思います

もう何度も作って良くしていくほかありません

少しずつ慣れていきます

参考資料

使用ツール

3DCG
  • LightWave3D
動画
  • Bandicam
  • ScreenToGif