今回はボーンが離れている状態で親子付けができるかやってみました
あの MMD で採用されているボーンの構造のことですが、なんて呼ばれているんでしょうか?
浮遊ボーン?浮動ボーン?

じゃっく
内部的に親子付けされているボーンですね
Lightwave の動画やサンプルシーンを見ると、だいたい親から子にかけてボーンが全部繋がっています
- 操作をしないボーン
- 配置位置だけを決めているボーン
などのボーンが入っているので、なんか扱いにくそうで妙な抵抗感があります
補助ボーンはまだ良いのですが・・・
MMD のボーン構成は、見た目がシンプル
スッキリな見た目なので LightWave でもできるか試したところ、可能であることが分かりました
一方で、一部問題もありました
今回もしっかりメモしていきます
※以降、離れた状態で親子付けされているボーンを浮遊ボーンと呼びます
問題点
モデラーの標準機能ではできない

まず、浮遊ボーンを作ろうとした時に起きた問題からです
これは体と腕を想定した構造になっています
普通に組んでいるだけなので、まだ親子付けはしていないです
親子付けするには、この Skelegon Tree から設定するわけですが・・・

こんな感じで親子付けすると、強制的にパァンッ!とポイントが結合してしまいます
おまけにボーン全体が移動するので、また調整が必要になってきます

じゃっく
なんでこんな仕様になっちゃったの?
このことからモデラーの標準機能では、浮遊ボーンを作ることができないのです
他の方法なら作ることができる
ただ、モデラーの標準以外の方法なら、できることが分かりました
Skelegon Editor を使う

一つはモデラープラグインの Skelegon Editor を使えば、浮遊ボーンを作ることができます
他にできることを上げてみると
- アンドゥとリドゥ
- 浮遊ボーンの作成
- バンク軸の一括設定
- ボーンの鏡面コピー
- 文字列の一括置き換え
など、モデラーの標準機能ではできないことができるので結構便利です
レイアウトでは Skelegon Reader で読み込んで、正式なボーンに変換します

じゃっく
標準の「スケルゴン変換」ではないです
また、回転角度を初期値のゼロにする「中心点回転記録」を一括で実行してくれます
ただ、欠点もあります
- 小さな描画バグあり
- 更新が止まっている
他にも Mac 版が無かったり、英語版には付いていなかったりするようです

じゃっく
英語版や Mac を所持していないので確認できないですが、なんか惜しいですね
レイアウトの標準機能を使う

レイアウトでも浮遊ボーンを組むことができます
できることは、こんなことです
- 浮遊ボーンの作成
- ボーン階層の複製
- ボーンの鏡面コピー
- 文字列の一括置き換え
- 中心点回転記録の一括実行(ver2024以降)
など、シーン編集から直接親子付けしたり、階層鏡面で鏡面コピーやボーン名の置き換えもできます
標準機能なのでプラグインが古くなって動かなくなったり、言語違いでできなかったりが無いので安心感があります
一方、こちらにも欠点があります
- バンク軸の再編集が難しい
- アンドゥとリドゥができない
中心点回転記録の一括実行ができない
↑ver2024以前の場合
このようなデメリットもあります
アンドゥとリドゥができないのは、あの・・・ヤバいです

じゃっく
一部はプラグインで対応できますが、まあキツイ・・・
それぞれのメリットとデメリットを踏まえたうえで、手順を載せていきます
ボーンの準備
浮遊した状態のボーンを用意

簡単に浮遊した状態のボーンを用意します
上半身と左右の腕だけのシンプル構成
まだ内部的に親子付けされていないです
この状態から始めます
モデラーで組む手順
まずはモデラー側で組む場合から
手順はこんな感じです
モデラー側で浮遊ボーンを組むには恐らく Skelegon Editor を使うしかなさそうです
かなりざっくり書くと Skelegon Editor 内で親子付けをして、Skelegon Reader でスケルゴンを変換すると浮遊ボーンができる、といった感じです
Skelegon Editor で浮遊ボーンを作る

親子付けさせたいボーンを先に選択
セットアップタブのスケルゴンの項目から Skelegon Editor を起動します

じゃっく
Skelegon Editor 内でも選択できますが、先に選択しておいた方が選択ミスしずらいです

鎖のようなチェックを外します

じゃっく
これを外しておかないと、強制的にポイントが結合するので注意
ちなみに鎖マークの隣にある「くの字」は
「チェックしたスケルゴンに対して、ゴールオブジェクト Null を作成&設定するもの」
だそうです※ Skelegon Editor のドキュメント
今回は不要なので、そのままオフで

右クリックで親スケルゴンを指定します
ここでは upper_body2 を親にしました

実行すると点線が現れます
この点線が内部的に親子付けできた状態です
OK を押してオブジェクトを保存
レイアウトへ投げます
Skelegon Reader でボーンを読み込む

Skelegon Editor で編集した内容は、 Skelegon Reader じゃないと反映されないので注意

じゃっく
標準機能の「スケルゴン変換」じゃないです
Ctrl+Space でメニューを開いて、その中に Skelegon Reader があるので起動します
途中で
「中心点の回転を記録しますか?」
と聞かれるので「はい」をクリック
動作確認

親ボーンを動かすと、動きに付いてくることが確認できました
レイアウトで組む手順
次はレイアウトで浮遊ボーンを組む場合です
手順はこのようになっています
まずは普通にデータを読み込んで、「スケルゴン変換」で正式なボーンに変換
そのあとは「シーン編集」を開いて、親子付けをします
親子付けをすると回転角度が変わります
あとは「中心点回転記録」と「ボーンの固定位置を記録」を実行して完成、といった流れです
スケルゴン変換でボーンを読み込む

準備したデータを読み込みます
レイアウトのセットアップタブから「スケルゴン変換」を実行
これで正式なボーンに変換します
シーン編集から浮遊ボーンを作る

シーン編集を開きます

じゃっく
ショートカット Ctrl+F1 でもOK

親子付けさせたいボーンを選択して、親ボーンに持っていきます
移動するときは、名前の部分をつかむと操作ミスしずらいです

じゃっく
ショートカット E でもOK
最後に選択したボーンを親とします
回転角度を初期化してゼロにする

「中心点回転記録」と「ボーンの固定位置を記録」を実行
ショートカット Shift+P で中心点回転記録
ショートカット R でボーンの固定位置を記録
これを全てのボーンに対して実行します

じゃっく
これがまた面倒なんよ
ただ、これは ver2024 以前の方法です

ver2024 以降に搭載された Rhiggit ツールの「リグツールボックス」なら、一括でできるようになっていました
ボーンを全選択した状態で、リグツールボックスから RPR という項目のボタンを実行します

じゃっく
RPR は Record Pivot Rotation(中心点回転記録)の略のようです
最後にもう一度ボーンを全選択
ショートカット R キーを押して、「ボーンの固定位置を記録」を実行すれば OK です
動作確認

ボーンを動かすと同じようにちゃんと付いてきてくれます
これで標準機能で組む場合と、Skelegon Editor で組む場合の二通りのやり方が分かりました
まとめ
それでは今回のまとめ
- 浮遊ボーンは作れるが制限もある
- モデラーの標準機能ではできない
- Skelegon Editor だとできることが多い
- レイアウトなら言語やOSの制限がない
今回は LightWave に備わっている機能だけで、MMD モデルと同じような浮遊ボーンができるか試してみました
制限はありますが浮遊ボーンは作ることができると分かったので、安心して MMD モデルを作ることができそうです
また、完全に Skelegon Editor を使わない方法ですと
- モデラーのスケルゴン回転でバンク軸を設定
- レイアウトでシーン編集で浮遊ボーンを作成
こんな組み合わせでもできそうです
それにしてもボーン周りは他のソフトと比べると、ちょっと弱いのかなと感じてしまいました

じゃっく
重要なんだからもっと使いやすくしてよ
ちょっとボヤいちゃいましたが、これで終わりです
それでは、お疲れさまでした~
おまけ
Ys プラグインでも浮遊ボーンが作れる
あとで分かったのですが、Dstorm さん公式ページで配布されている YS プラグインでも浮遊ボーンが作れることがわかりました
YSプラグインは複数のプラグインで構成されています
その中の YS:Skelegon Kit を使いました
手順はこんな感じです
YS:Skelegon Property から作る

YS:Skelegon Selector を起動して、親子付けさせたいボーンを選択します
このツール上で選択した場合は、ボーンも同期して選択状態になります

じゃっく
逆にボーンを選択した後に Sync を実行すると、ツール側に反映されます

選択したボーンの上で右クリックをすると、中に skgProp とあるのでクリック
YS:Skelegon Property を開きます

一番上のスケルゴンの項目を開くと、選択中のボーン名が出てくるので確認
IK オプションタブの親アイテムから、親にしたいボーンを選択します
Sync で適応してオブジェクトを保存
YS:Skelegon Optimize を実行

レイアウトにオブジェクトを転送して、YS:Skelegon Optimize を実行
コマンドメニューが出てくるので、そのまま実行します

じゃっく
Skelegon Editor と同じようにボーンへの変換だけでなく、中心点回転記録も一括でやってくれます
動作確認

動作を確認
ちゃんと浮遊ボーンとして機能しています
もし、 Skelegon Editor が動かなくなっても、代替プラグインとして使えそう
ですが、これもまたメリット・デメリットがあります
まずはメリットから
- 浮遊ボーンの作成
- 文字列の一括置き換え
- ボーンプロパティの設定
- 中心点回転記録の一括実行
- モーションオプションの設定
など、浮遊ボーンの作成だけでなく、Null というオブジェクトを予めボーンに設置することもできます
レイアウトでやってたことが、モデラー側で設定できるので便利です
ちなみにデメリットはこんな感じ
- Mac 版が無い
- バンク軸の編集ができない
- ボーンの鏡面コピーができない
- 設定後の変化が視覚的に分かりにくい
これまた惜しい部分がありますが、更新と配布を続けて頂いているのは本当にありがたいです
この手のプラグインは貴重なので、有効に活用させて頂きます
ありがとうございます
使用ツール
- 3DCG
- LightWave3D
- 動画
- Bandicam
- ScreenToGif
